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【和歌山県立医科大学 循環器内科】
財田滋穂、上野悟史、赤阪隆史 |
症例は40歳男性。2004年と2005年の健康診断時に心電図異常を指摘され、前医で冠動脈造影を施行されていたが、明らかな狭窄部位は認められずBrugada症候群疑いとして経過観察されていた。後日Brugada 症候群のスクリーニング目的で当院紹介。当院での運動負荷にてV1-5のST上昇と陰性U波、運動負荷Tl心筋シンチにて前壁の再分布現象を認めたため、冠動脈造影を施行した。負荷前の冠動脈造影では有意狭窄を認めなかったが、エルゴメーター負荷にて無症候性に前下行枝に強い冠攣縮が誘発された。無症候性の運動誘発性冠攣縮狭心症は重症不整脈発症のリスクが高いと考えられる。運動負荷時に心電図変化がある症例には本疾患も念頭に置き、検査をすすめる必要があると考えられた。 |
| 冠攣縮で発症した急性心筋梗塞の2症例−血管内視鏡所見から− |
【近畿大学医学部内科学教室循環器内科部門】
林 孝浩、中村 元、宮崎俊一 |
| 背景) |
冠攣縮発症時の責任病変を直視下で観察することは困難である。冠攣縮で発症したと考えられる急性心筋梗塞症例の責任冠動脈を再開通前に血管内視鏡で観察した2症例を経験した。 |
| 症例1) |
急性心筋梗塞疑いで当院に入院となった62歳男性。 CAGでLCX seg11に閉塞を認め,LCXを遠位部から近位部まで血管内視鏡で観察した。血管内膜面は白色で血栓を認めず,巾着様に冠動脈が収縮していた。硝酸薬とKチャンネル開口薬の冠動脈内投与とCa拮抗薬の服薬で冠攣縮は寛解し,再開通に成功した。 |
| 症例2) |
就業中に断続的に続く前胸部絞扼感を自覚し,当院に急性冠症候群疑いで入院となった31歳女性。LAD seg7の閉塞をCAGで認めた。同部位を血管内視鏡で観察するも血栓を認めず,巾着様に冠動脈が収縮していた。強力に冠動脈拡張薬を投与するも冠動脈閉塞は寛解せず,IVUSで同部位が限局的冠攣縮であることを確認した後,ステント留置による冠再開通を試み,成功した。 |
| 結論) |
冠攣縮で発症した急性心筋梗塞の責任病変に血栓は存在せず,冠動脈内膜面は白色で巾着様に冠動脈が収縮していた。 |
【岐阜大学医学部附属病院第二内科】
西垣 和彦、湊口 信也
MUGIC Group |
| 冠攣縮性狭心症患者において、冠攣縮誘発時の形態と予後に関して後ろ向きに調査した。対象は、2000年1月1日?2005年10月31日までに岐阜大学およびその関連6施設で冠動脈造影検査を実施し、冠攣縮性狭心症と診断された患者1,146例。2006年7月1日における生存および合併症の発現を調査し、その際同意が取得できた1,047例を解析対象とした。追跡率は91.4%、追跡期間は3.8年(中央値)であった。心血管イベント(致死性心筋梗塞、心不全死、不整脈死、突然死、致死性脳卒中および非致死性心筋梗塞)は、3.2%に発症し、非致死性心筋梗塞は2.3%に発症した。多変量解析により、心血管イベントの発現に関与した因子は、年齢(p=0.023)、糖尿病(P=0.012)、有意狭窄(P=0.019)、そして完全閉塞の誘発(p=0.018)であった。以上より、特に完全閉塞が誘発された症例の予後はより不良であることが示唆された。 |
【獨協医科大学循環器内科】
石村 公彦、錦見俊雄、吉田康太郎、矢部彰久、八木博、原均之、堀中繁夫、松岡博
昭 |
| 高血圧加療中の61歳男性。胸痛後に失神発作出現し、当院入院。入院後は不整脈を認めず、VSAを疑いCAGを予定。検査前日、amlodipineを休薬後、胸痛が出現し失神。心電図上U,V,aVf誘導でST上昇と徐脈を認め、ISDN,atropineを投与し、一時改善するもvfにてDCを施行。緊急CAGで冠動脈に狭窄を認めずVSAと診断し、amlodipineを増量。しかし翌日に再度胸痛が出現し、心電図では同様の変化を認めISDN,NTG,nicorandilを静脈投与し、症状消失。benidipine、nicorandil、ビタミン製剤の内服を追加し、症状軽快したため退院となる。amlodipineとbenidipineを併用し、VSAが改善した難治性症例を経験したので報告する。 |
【東北大学 循環器内科】
高橋 潤、安田 聡、下川宏明 |
| 42歳男性。2007年1月午前8時ごろ出勤途中の駅で突然倒れ、居合わせた医師がCPRを施行。モニター装着時VFでAEDによる除細動で心拍再開。近医搬送後施行された緊急CAGで有意狭窄は認められなかったが、低体温療法中に再度VFとなり電気的除細動4回行い停止した。その際、心電図で一過性のST上昇を認め、冠攣縮の関与が疑われ精査加療目的に当科紹介となった。当科入院後、アセチルコリン(Ach)負荷試験を行い、ACh 25μg左冠動脈冠注でLAD#6、LCX#13完全閉塞となり、胸痛・心電図変化も認め冠攣縮性狭心症と診断した。後日施行したEPSにおけるイソプロテレノール負荷下のプログラム刺激ではVT/VFは誘発されず、院外心停止は冠攣縮性狭心症による広範な心筋虚血の結果発生したVFによるものと思われた。冠攣縮抑制のためヘルベッサーR200mg分2、コニール8mg分2、シグマート15mg分3、フランドルテープS40 1枚貼付を開始した。投与薬剤の効果を評価するため1ヶ月後薬剤内服下で再度Ach負荷試験を施行したが前回同様の結果であった。本症例における冠攣縮が治療抵抗性であることが示唆され、前述の薬剤にローコール30mgを加えるとともにICD植え込みを行い退院となった。3ヵ月後に3回目のAch負荷試験を施行し薬物療法の再評価を行ったが、アセチルコリンに対する冠動脈過収縮反応の減弱が認められた。本症例のように冠攣縮に伴うVFに対してのICD植え込みについてコンセンサスは得られておらず、議論が分かれるところである。我々は院外心停止を引き起こしたVF予防には至適薬物による確実な冠攣縮の抑制が最重要と考え、Ca拮抗薬・亜硝酸薬・ニコランジル、次いでスタチンを投与した。しかしながら、完全な冠攣縮の抑制を達成できず、最終的にICD植え込みを行った治療抵抗性を呈する冠攣縮狭心症の1例を経験したので報告する。 |
| SES 留置は冠スパスムを惹起するか?― BMS 留置との比較 |
【済生会西条病院 循環器科】
末田章三、大下晃、野本高彦 |
| 背景) |
SES による血管内皮障害が報告されている。 |
| 目的) |
SES と BMS 植え込み後の誘発冠攣縮頻度を検討する。 |
| 対象と方法) |
対象は、SES・BMS 植え込み後の追跡造影時に再狭窄を認めなかったIHD 41 例 (M: 25 例、67 ±9 歳) が対象である。約 6 ヶ月後の追跡造影時に無投下に冠攣縮誘発負荷試験を施行し、少なくとも 90% 以上の一過性の冠収縮を認めた場合に冠攣縮陽性と定義した。SES 挿入後の 26 例と BMS 挿入後の 15 例の 2 群に分類し検討した。 |
| 結果) |
誘発冠攣縮はSES 群: 62%、BMS群: 74%で差異なし。ステント留置血管における誘発冠攣縮はSES 群:48%、BMS群:53% で同等であった。多枝誘発冠攣縮も 59% と 64% で差異は認められなかった。高感度 CRP と BNP は両群ともに前に比して 6 ヶ月後に有意の改善を認めた。 |
| 結論) |
現在までの検討では誘発冠攣縮頻度に関しては、SES と BMS 群に差異は認められなかった。 |
| Cypher stent留置後に冠攣縮性狭心症が顕在化した2症例 |
【熊本大学大学院医学薬学研究部 循環器病態学】
海北幸一、永吉靖央、有馬勇一郎、原田恵美、松澤泰志、渕上俊一郎、
松川将三、小島淳、角田等、杉山正悟、小川久雄 |
| 薬剤溶出性ステント(DES)導入以降、再狭窄率は減少したが留置後の血管内皮機能障害の可能性が示唆されている。 [症例1]78歳男性。平成16年無症候性心筋虚血の診断で左冠動脈前行枝にCypher ステントが留置されたが、その後、夜間安静時胸痛が出現するようになった。慢性期確認造影で再狭窄は認めなかったが、続けて施行したACh負荷試験にてステント部を中心に冠攣縮が誘発された。[症例2]75歳男性。平成17年より冠攣縮性狭心症と診断され、その際左前下行枝の器質的狭窄に対してCypherステントが留置された。内服加療にもかかわらず、その後も夜間胸部圧迫感が出現していた。平成19年再評価目的で冠動脈造影施行、再狭窄は認めなかったが、ACh負荷試験にてステント部を中心に冠攣縮が誘発された。これら2症例はCypherステント留置後に薬剤抵抗性の冠攣縮が生じており、DES留置後の胸痛の原因として考慮すべき病態であるものと思われた。 |
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冠攣縮がDES植え込み後の再狭窄に関与した可能性が考えられた症例
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| 症例は新規労作性狭心症の57歳男性。2005年1月に左冠動脈前下行枝(Seg7)90%狭窄に対し、Cypherステントを留置した。6ヶ月後の冠動脈造影では再狭窄病変を認めなかった。8月末頃より安静時狭心症が出現。運動負荷心電図では異常を認めず、ベニジピンを開始した。その後も安静時の胸部発作を繰り返し、9月に急性心筋梗塞を発症。造影を施行したところステント近位端に99%狭窄病変を認めたため、Cypherステントを留置した。2006年5月の造影では再狭窄は認めなかった。2007年4月、安静時狭心症が出現、エルゴノビン負荷にてステント遠位端に冠攣縮が誘発された。ジルチアゼムを追加し、以後は症状なく経過良好である。DES留置後の慢性期に冠攣縮による狭心症が出現し、冠攣縮がステント端の病変進行に関与した可能性が考えられた。 |
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